スマホ老眼?目のピントが合わない原因は“ピント筋”のコリかも

最近、「スマホの文字がぼやける」「遠くを見たあとに近くが見づらい」と感じることはありませんか?

まっしゅ

youtubeばっかり見てて、かまってくれないときがあるにゃ…

眼トリさん

ごめんよ…。夢中になると何時間もスマホを見てしまうよね

それ、もしかすると“老眼”ではなく──
ピントを合わせる筋肉(毛様体筋)のコリが原因かもしれません。

長時間のスマホやデスクワークによって、目のピントを動かす筋肉がガチガチに疲れてしまう「ピント筋のコリ」。
これが進むと、目のかすみや焦点のズレ、頭痛まで起こることがあります。
前回の記事でもお伝えした「目のかすみ」も、実はこのピント筋の疲れが関係しているケースが多いんです。
今回は現役視能訓練士の視点から、スマホ老眼の正体ともいえる“ピント筋のコリ”について、
医学的なポイントと、今日からできるケア方法をわかりやすく解説します。


目次

ピントが合わないのは「毛様体筋」が疲れているサイン

▶ 毛様体筋とは?ピント調節を担う目のインナーマッスル

目の中には「毛様体筋(もうようたいきん)」という、レンズの厚みを変えてピントを合わせる筋肉があります。
近くを見るときはこの筋肉がギュッと縮み、遠くを見るときはゆるむ──まるでカメラのオートフォーカスのような働きをしています。

ところが、スマホやパソコンで近くばかりを見続けると、この毛様体筋が常に緊張状態になり、うまくゆるまなくなってしまうんです。

▶ ピント筋が固まる理由

筋肉は、長時間動かさずに緊張させ続けると固まります。
「肩こり」と同じように、目にも“ピントこり”が起こるわけです。
その結果、ピントを切り替える力が落ちて、「ぼやける」「かすむ」といった不調が現れます。


「スマホ老眼」と呼ばれる理由

▶ 年齢に関係なく起こる“現代型のピント疲労”

「老眼」という言葉は本来、加齢によってピント調節力が落ちる状態を指します。
しかし近年では、20〜30代でも「スマホを見ると目がかすむ」という訴えが増えています。
これは、老眼ではなく毛様体筋の過労状態。まさに現代人特有の“スマホ老眼”です。

▶ 本当の老眼との違い

老眼は加齢で水晶体そのものが硬くなり、ピントが物理的に動かなくなる状態。
一方、スマホ老眼は筋肉疲労が主な原因なので、休息や環境の見直しで回復可能です。
見分け方の目安としては、「寝たあとに見え方が少し良くなる」場合、疲労性の可能性が高いです。

眼トリさん

日ごろから、自分の屈折状態(遠視や近視)、ピントの合っている距離を把握しておくと毛様体筋の過労状態を防ぐことができるよ!


放置するとどうなる?

▶ 慢性的な目のかすみや頭痛にもつながる

ピント筋のコリを放置すると、目のかすみが慢性化し、肩こりや頭痛の原因にもなります。
ピントを合わせる動作は自律神経と深く関係しているため、ストレスや疲労にも影響を与えます。

▶ 「調節けいれん」状態になることも

さらに進むと「調節けいれん」と呼ばれる、ピントが過剰に緊張したまま戻らない状態になることも。
こうなると、遠くも近くもぼやけ、視力検査でも結果が安定しなくなります。
この段階では、眼科での検査や治療が必要です。


視能訓練士がすすめる“ピント筋ケア”

▶ 作業環境を整える

  • スマホは目から 30cm以上 離す(裸眼・眼鏡等装用下の屈折状態にもよります)
  • デスクワークでは モニターの高さを目線より少し下
  • 室内照明を適度に明るくし、暗い中でのスマホ操作は控える

▶ 1時間に1回、遠くを見てリセット

20-20-20ルール」もおすすめです。
20分ごとに20フィート(約6m)先を20秒見る──これだけでもピント筋がゆるみます。

▶ 目のストレッチ&ホットアイケア

遠く・近くを交互に見る“ピントストレッチ”や、蒸しタオルで目元を温める“ホットアイケア”も有効。
血流を促し、緊張した筋肉をやさしくほぐします。

眼トリさん

湯船につかるときのルーティンにするのがおすすめ!!


まとめ

目のピントが合わないからといって、必ずしも「老眼」とは限りません。
その多くは、日常生活での“ピント筋のコリ”──つまり使いすぎによる疲労です。

放置すると慢性的なかすみや頭痛の原因にもなるため、
まずは1時間に1度、遠くを見る「ピント休憩」を意識してみましょう。

そして、症状が続く場合は我慢せず眼科へ。
受診することで、早めに原因を見つけて回復につなげることができます。

関連記事:[目がかすむとき、受診の目安と放置のリスク]

今日も目をたくさん使ったあなたへ。
まっしゅはもうピントを外して、ソファでお昼寝中です🐾

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この記事を書いた人

眼トリのアバター 眼トリ 視能訓練士

総合病院で14年勤務している現役の視能訓練士です。
「眼科受診前に読むトリセツ」では、
受診を迷っている方や目の不調が気になる方に向けて、
医療現場での経験をもとに“目のことをやさしく解説”しています。

目の不安が少しでも安心に変わるきっかけになればうれしいです。
飼い猫のまっしゅも、ときどき登場します🐾
X(旧Twitter)でも情報発信中 → [@ganka_torisetu]

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