「子どもの視力がどんどん下がっている気がする」
「眼科に行くたびに、眼鏡の度数が上がっている…」
そんな不安を感じている親御さんは、決して少なくありません。
これまで近視は「進んだらメガネで矯正するもの」と考えられてきましたが、
最近では近視の進行スピードを抑える方法が眼科で行われるようになってきています。
この記事では、
- なぜ近視は進行するのか
- 近視進行抑制とは何をするものなのか
- 眼科で行われている3つの方法とは
について、専門的になりすぎないよう、やさしく解説します。
「うちの子も対象になるのかな?」と考えている方の、最初の道しるべになる記事です。
1. なぜ近視は進行するのか

子どもの近視は、
“眼球の長さ(眼軸)”が伸びることで進行します。
成長期の子どもの目はまだ柔らかく、
- 近くを見る時間が長い
- 外遊びが少ない
- 遺伝的な影響
- 網膜より後ろでピントが合っている
などが重なると、眼球が伸びやすくなるといわれています。
一度伸びた眼軸は、元に戻ることはありません。
そのため、成長期にどれだけ伸びてしまうかが、将来の近視の強さに大きく影響します。
2. そもそも「近視進行抑制」とは?

近視進行抑制は、近視を「治す」治療ではありません。
目的はとてもシンプルで、
近視が進むスピードをゆるやかにすること
成長期に急激に近視が進むのを抑えることで、
- 強度近視になるリスクを下げる
- 将来の目の病気のリスクを減らす
ことが期待されています。
眼トリさん「今より悪くならないように、コントロールする」
それが近視進行抑制の考え方です。
3. なぜ今、近視進行抑制が注目されているの?


ここ数年で、子どもの近視は世界的に急増しています。
スマホやタブレットの影響がよく話題になりますが、
それだけが原因ではなく、
- 屋外で過ごす時間の減少
- 近くを見る作業の増加
- 生活環境の変化
など、複数の要因が関係しています。
研究が進み、
「早い時期から対策を始めたほうが効果が出やすい」
ことが分かってきたことも、注目されている理由の一つです。
眼軸長が伸びすぎると、将来の眼疾病リスクが上がる
眼軸長が過度に伸びた状態(=強度近視)になると、
大人になってから次のような目の病気のリスクが高くなることが分かっています。
- 緑内障
- 網膜剥離
- 加齢黄斑変性
- 近視性黄斑症 など
これらは
「見えにくい」だけでなく、視力に大きく影響する病気です。
関連記事:【強度近視だとリスクの上がる関連疾患についてまとめています】
4. 近視進行抑制が検討されるのはどんな子?


すべての子どもが対象になるわけではありません。
一般的に、眼科で検討されるのは次のようなケースです。
- 半年〜1年で視力が大きく低下した
- 両親のどちらか、または両方が強度近視
- 眼科で「進みが早い」と言われた
- 3歳児健診や就学時検診ですでに近視があるといわれた
逆に、進行がゆっくりな場合は経過観察のみになることもあります。
必ず眼科で適応を判断してもらうことが大切です。
関連記事:【3歳児健診で視力検査に引っかかった・・・どうする?】


5. 眼科で行われている「近視進行抑制」3つの方法
| 方法 | 手軽さ | 効果の期待 | 向いている子 |
|---|---|---|---|
| 低濃度アトロピン | ◎ | △ | 低年齢・初期 |
| オルソケラトロジー | △~〇 | 〇 | 管理できる家庭 |
| マイサイト® ワンデー | ○ | 〇~◎ | 自分でつけ外しができる |
※効果の感じ方には個人差があります。
① 低濃度アトロピン点眼(リジュセア®ミニなど)
毎日1回、寝る前に点眼する方法です。
- 近視の進行を抑えるエビデンスがある
- メガネや通常のコンタクトと併用できる
- 比較的低年齢から検討されることが多い(早ければ4~5歳)
- 副作用がある
- 自費診療である
- 比較的長期間の管理が必要
点眼を続けることが大切なので、保護者の管理が重要になります。



1日1回でも忘れずに点眼するのはなかなか大変だにゃ
関連記事:【低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制について】


② オルソケラトロジー(夜つけるハードコンタクト)
寝ている間に特殊なハードコンタクトを装用し、
角膜の形を一時的に変える方法です。
- 日中は裸眼で過ごせる
- 近視抑制効果が高いとされる
- すでに強度近視まで進んでいると使えない
- 家族で管理が必要
- ハードコンタクトレンズに慣れが必要
- 自費診療である
装用ルールを守れるか、家庭での管理体制がとても重要です。
③ 近視進行抑制用ソフトコンタクト(マイサイト® ワンデー)
日中に装用するワンデータイプのコンタクトです。
- 比較的新しい選択肢
- 毎日使い捨てで衛生管理しやすい
- 近視抑制効果が高いとされている
- 万が一、装用をやめたときのリバウンドが少ないとされている
- 8歳からを想定しているため、点眼より開始できるのが遅い
- すでに強度近視まで進んでいると使えない
- 乱視が強いと使えない
- 自分でつけ外しできなければいけない
- 自費診療



「オルソは難しいけど、点眼以外の方法を考えたい」
というご家庭で選ばれることもあります。
6. よくある誤解・注意点


- 近視が治るわけではない
- 効果には個人差がある
- 途中でやめると進行が再開することもある(リバウンド)
- 定期的な眼科フォローが必須
「始めたら終わり」ではなく、
続けながら様子を見る医療だと理解しておくことが大切です。



自費診療なので、定期受診の費用も掛かるよ!
7. 近視進行抑制を始めるにはどうすればいい?


まずは眼科で相談しましょう。
視力検査だけでなく、
- 屈折検査
- 眼軸長の測定
などを行い、適応を判断します。
自己判断で始めたり、ネットの情報だけで選ぶのはおすすめできません。
関連記事:【眼科受診が初めて、または久しぶりでよくわからない人におすすめな記事集めました】
8. まとめ:近視は「放置せず、コントロールする時代へ」


- 近視進行抑制という選択肢がある
- 早めの相談が将来の目を守る
- 子どもに合った方法を選ぶことが大切
「まだ小さいから様子見でいいかな」と思っている間に、
近視が進んでしまうこともあります。
気になったときが、相談のタイミングです。






